白神山地

白神山地は、標高約100メートルから1,200メートルの山々が連なる、青森県と秋田県に広がる山地帯の総称で、広さは約130,000ヘクタール、ブナを主とする広葉樹林、ブナ、アオモリマンテマ、ツガルミセバヤ、ニホンカモシカ、ニホンツキノワグマ、クマゲラ、イヌワシ、モリアオガエルなど、学術的にも、歴史的にも貴重な動植物が生息し、価値の高い自然生態系が長い歴史の中で保たれています。

ブナとは

ブナ属ブナ科
分布:低山の照葉樹林帯と、亜高山の針葉樹林帯の間にはブナ林を成立する。雪が多い日本海側の山地と、奥羽山脈の近くでは、天
然林に近いブナ林が広範囲に広がっていたが、太平洋戦争後、大規模に伐採されてしまった。
ユネスコの世界自然遺産に登録された白神山地(青森県・秋田県)のブナ林は、保護運動により、まとまった天然林としては最後に残った所である。
本州中部では、ほぼ標高1,000-1,500 mまでの地域がブナ林となる。日本北限のブナ林は、北海道黒松内町といわれている。
日本のブナの離島北限は奥尻島である。一方、南限のブナ林は鹿児島県高隈山とされる。白神山地以外の広範囲のブナ林としては、岐阜県・石川県・福井県・富山県にまたがる白山、福島県只見町周辺に、広大なブナ林を見ることができる。

材質:散孔材。本来心材はないが、一般に偽心材を形成。年輪は明瞭。材の保存性は乾燥状態にないものは特に低い。木材としてはビーチと呼ぶ。材は家具材や曲げ木の椅子に利用される。

用途:漆器素地、玩具材、銃床材、箱材、パルプ材、薪炭材、器具材、家具材、枕木、床板等建築材、ベニヤ板、等多岐にわたる。

特性:陰樹。結実豊凶は5~7年ごとに豊作を繰り返す。白神山地でもこの繰り返しをなしている。
中性の適潤地を好み、酸性地は適さない。温帯北部において極盛相を形成し、成長は遅いものの、陽樹林に侵入し、ササ類・低木類の被陰下に成長を続け40年生頃から成長を早め周囲を圧倒して、次第にブナの純林を形成するようになる。

世界自然遺産への登録

人為の影響をほとんど受けていない世界最大級の原生的なブナ林16,971ヘクタールが、1993年12月、コロンビアのカルタヘナで開催された第17回世界遺産委員会において、屋久島とともに日本初の世界自然遺産に登録され登録区域別面積は、青森県鰺ヶ沢町、深浦町、西目屋村、秋田県藤里町の4町村で合計16971ヘクタール鰺ヶ沢町が4,650ヘクタール、秋田県の藤里町が4,344ヘクタール、深浦町が4,119ヘクタール、西目屋村が3,858ヘクタールの順となっている。

世界遺産登録までの歴史

1972年11月16日 世界遺産条約が、フランスのパリで開催された第17回ユネスコ総会で採択
1990年3月29日 林野庁が白神山地に森林生態系保護地域を設定
1992年
6月18・19日 衆議院、参議院 両院において、世界遺産条約の締結を承認
1992年6月26日 世界遺産条約の批准を閣議決定
1992年7月10日 環境庁が白神山地を自然環境保全地域に指定
1992年9月4日 文化庁、環境庁、林野庁の3庁が世界自然遺産の候補地に「白神山地、屋久島を選定したい」と発表
1992年10月1日 政府は、白神山地と屋久島を、世界自然遺産の第1候補地としてユネスコに申請
1993年12月9日 コロンビアのカルタヘナで開催された第17回世界遺産委員会総会において、屋久島とともに白神山地の世界遺産登録が正式決定
2023年12月9日  屋久島とともに白神山地の世界遺産登録が正式決定から30周年を迎える。

能代山本地区においての白神山地

能代山本地区は、白神山地の南麓に位置し、圏域を構成する市町のなかで藤里町は、前述のとおり4,344ヘクタールの区域が世界遺産に登録されています。ブナの森は広葉樹林で、杉やヒノキなどの針葉樹の森に比べ、水を蓄える力が大きく、ブナの森から湧き出る養分を含んだ豊かな水を利用して、能代山本地区の人々は農作物を育て、飲料水として利用しています。ブナの森に囲まれた海でも森の恩恵を受け、様々な魚介類が生息する場となっている。白神山地の水がやがて日本海に注ぎ沿岸に多くの海藻を育てます。この海藻はさまざまな魚の産卵場所となり、稚魚を育てます。山が海を育てる、それが能代山本地区の産業を発展させてきました。能代市特産の白神ミョウガや白神ネギ、藤里町の舞茸等の山菜、三種町特産のじゅんさい、メロンや様々な農作物、
秋田名物八峰町のハタハタやあわびも、地域全体での米の栽培は白神山地の恵みにより育てられています。

白神山地へのアプローチ

白神山地の動物八峰町(旧八森町)からのぼる
 能代市→(35分)→八森ぶなっこランド→(40分)→ 二ツ森登山口→(40分)→二ツ森山頂

藤里町からのぼる①
 能代市→(110分)→駒ケ岳登山道(黒石口)→(15分)→ 田苗代湿原→(70分)→駒ケ岳山頂

藤里町からのぼる②
 能代市→(135分)→小岳登山口→(110分)→小岳山頂

*時間は標準的な登山のお時間となります。

白神山地世界遺産センター「藤里館」

 秋田県山本郡藤里町にある白神山地の観光施設です。展示やスライドにより、遺産及び周辺地域の自然情報、白神山地の周辺情報などを提供し、白神山地についての理解を深めることが出来ます。また、自然観察会や、清掃登山などのイベントの企画や実施も行っております。

開館時間: 午前9時~午後5時

休館日: 火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

交通案内: 車でJR奥羽本線「二ツ井駅」より約13キロメートル、約20分。

所在地:〒018-3201 秋田県山本郡藤里町藤琴字里栗63番地

お問い合わせ先: 電話 0185-79-3001
※営業時間は時期により異なりますので、お電話にてお問合せください。

白神山地の秋田での歴史

白神山地の中の秋田県と青森県の境界付近に道路を通す計画が持ち上がり、ふもとで水源の確保に問題等からから、反対運動が起きて中止になりました。当時多くの学者や研究者が白神山地を訪れ、住民が普通の山だと思っていた白神山地に注目が集まり、それが契機となって世界自然遺産に登録されたとのこと、地元のガイドさんは詳しくそのころのお話を聞かせてくれます。

岳岱自然観察林

白神山地の世界遺産エリアは、歩道も整備されていないまったくの手つかずの自然が広がる場所で簡単に立ち入ることはできません。
そこで世界遺産指定区域外にある周辺のブナの森に、一般の人でも気軽に散策できるような道を整備しました。
藤里町で有名なのは、岳岱自然観察林。藤里町の藤里館から岳岱自然観察教育林までは、細い山道を車で入り入口まで40分ほどかかります。「岳岱(だけだい)」の「岳」は山奥、「岱」とは山中の台地のことを指します。
この地には樹齢400年以上といわれる「400年ブナ」が生息していましたが、令和4年3月末にこのブナが倒伏しました。

白神山地は様々な生態系を育み、自然の叫びを間近で感じることができる自然遺産である。